『氷の城壁』の結末では、小雪と湊、美姫と陽太がそれぞれ恋人となり、最終117話「解氷」では四人が次の季節へ進んだ姿まで描かれます。
小雪と湊の恋が実る大きな節目は12巻・第104話「修学旅行2」。美姫は13巻で、自分から陽太へ想いを伝えます。この記事では、全14巻の流れを追いながら、桃香との交際、五十嵐翼との過去、そして117話の結末を時系列で整理します。
なお、本稿では単行本全14巻の物語を通して確認したうえで、巻数・収録話・話タイトルについて集英社の単行本書誌および少年ジャンプ+掲載情報と照合しています。場面の意味については事実と私見を分け、作者の意図そのものとは断定せずに読み解きます。
『氷の城壁』の結末は?最終回までを時系列で整理
最初に全体像を申し上げると、小雪と湊は長い両片思いを経て交際し、美姫と陽太も一度のすれ違いを越えて恋人になります。
ただし、『氷の城壁』の最終地点は「カップルが二組できて終わり」ではありません。
最終117話の題名が「解氷」であるように、小雪が人との距離を自分の意思で調整し、孤独だけを安全地帯とする状態から一歩外へ出ていくことが、作品全体の結末になっています。最終話が14巻に収録されていることは、集英社の公式目次でも確認できます。
主要な流れを先に整理すると、次のとおりです。
巻・話数 主な出来事 結末へどうつながるか
1巻・第1〜13話 小雪、美姫、湊、陽太の関係が始まる 小雪の「壁」と四人の距離感を提示
3〜5巻 小雪と湊が互いを意識し始める 友情から恋への変化
6〜8巻 桃香が登場し、陽太が美姫への気持ちと向き合う 二組の恋が本格的に動く
9〜11巻 小雪と湊がすれ違い、湊と桃香が交際 「伝えないこと」が関係を変えてしまう
10巻 小雪が五十嵐と再会 過去の傷を現在から見直す
11巻終盤 湊と桃香の交際が終わる 湊が自分の本心と向き合う
12巻・第104話 小雪と湊の関係が決定的に変わる 長い両片思いに決着
13巻 美姫が陽太へ想いを伝える 美姫自身が恋を選び取る
14巻・第117話 「解氷」で完結 四人が新しい人間関係の形へ進む
この順番を見ると、本作が丁寧に描いているものが分かります。
恋愛感情そのものよりもむしろ、「相手がどう思っているか」を勝手に推測せず、自分がどう思っているかを言葉にするまでの過程なのです。
序盤〜8巻のネタバレ|小雪と湊、美姫と陽太の恋はどう始まる?
主人公の氷川小雪は、人と接することが得意ではありません。
高校でも基本的に一人で過ごしており、集英社の1巻紹介でも、他人との間を「壁」で隔てる少女として説明されています。そこへ遠慮なく距離を縮めてくる雨宮湊が現れ、小雪の静かな高校生活が変わり始めます。
小雪の親友が安曇美姫です。
美姫は学校では華やかな人気者として見られていますが、他人が期待する「可愛い美姫」と、本人が自然に振る舞いたい姿との間にずれを抱えています。
さらに湊の友人・日野陽太が加わり、小雪、美姫、湊、陽太の四人が物語の中心となります。
小雪と湊は「正反対」だからこそ近づいていく
小雪は、ずかずかと人の領域へ入ってくる湊を最初は警戒します。
ところが湊もまた、単純に社交的なだけの人物ではありません。
人と距離を縮めることは得意でも、自分自身の奥にある感情をそのまま見せることについては別の難しさを持っています。
3巻では、小雪が過去の記憶を越え、湊と真正面から話そうとします。
集英社の3巻紹介にも、その出来事を境に、それまで冷静だった湊の気持ちが少しずつ変化していくことが示されています。収録話には第25話「嗚咽」、第26話「変化」、第29話「制御エラー」などが並びます。
恋を突然「好き」と自覚するのではなく、今まで正常に動いていた自分が相手の前だけで妙に乱れる。
そうした感情の揺れを細かく積み重ねるところが、『氷の城壁』らしい恋愛描写です。
4巻では陽太の本音、美姫が学校で素の自分を出せない悩み、そして小雪と陽太を気にする湊の様子が描かれます。集英社の書誌でも、4巻が四人それぞれの内面へ踏み込む内容であることが確認できます。
ここまで読むと、四人には異なる「対人関係の癖」があることが見えてきます。
- 小雪は、傷つかないように相手を遠ざける
- 湊は、人には近づけても自分の本心を隠しやすい
- 美姫は、周囲が期待する自分を演じやすい
- 陽太は、相手を優先するあまり自分の感情を後回しにしやすい
恋愛は、この四人の弱点を急に治してくれるものではありません。
むしろ恋をしたからこそ、今までなら見ずに済ませられた自分の性質が表へ出てきます。
湊が小雪を意識し、桃香が登場する
物語が進むにつれ、湊は小雪への感情をはっきり自覚していきます。
一方、小雪も湊を特別な存在として見るようになりますが、二人とも相手の本心を確認する前に「きっとこうだろう」と推測してしまいます。
そこへ現れるのが栗木桃香です。
桃香は湊へ積極的に好意を示します。
8巻では桃香の存在によって小雪と湊の気持ちがさらに複雑になり、同時に、美姫と陽太の関係も大きく動きます。
8巻には第67話「理解」から第74話「聴取―裏」までが収録され、第71話は「結び」。集英社の紹介では、陽太が気持ちをはっきり伝えようとし、美姫がその気持ちにどう答えるかが中心となっています。
陽太の想いが分かっても、美姫はその場ですぐ「では恋人になろう」とはなりません。
ここが非常に重要です。
美姫にとって陽太は、すでに大切な人です。
だからこそ、その関係に「恋人」という別の名前を付けることが本当に自分の望むことなのか、すぐには決められないのです。

9〜11巻ネタバレ|湊と桃香はなぜ付き合い、なぜ別れた?
湊と桃香の交際は、小雪と湊が互いの気持ちを伝え切れないまますれ違った結果として始まり、11巻終盤で終わります。
ここは『氷の城壁』の中でも、とりわけ苦さの残る部分です。
小雪と湊は互いを意識しています。
しかし、「好き」という感情があることと、それを正確に相手へ伝えられることは別問題です。
9巻では小雪が湊の気持ちに関する会話を聞いたことから、自分は恋愛対象として見られていないのだと受け取り、感情を押し込めようとします。
その間にも桃香は湊へ自分の好意を伝え、行動します。
結果として、湊と桃香の関係が進んでいきます。
桃香は「恋敵」だけではない
ここで桃香を「小雪と湊の邪魔をした人物」とだけ捉えてしまうと、本作の人間関係はかなり単純になってしまいます。
桃香は、自分の気持ちを伝えています。
小雪と湊が言葉にできなかった間に、自分から動いた人物なのです。
つまり物語が示すのは、両思いらしい二人がいるからといって、周囲の時間が止まってくれるわけではないということです。
伝えなかった感情は、相手にとって存在しないものと同じように働くことがある。
この厳しさが、9巻以降のすれ違いを支えています。
五十嵐との再会は、小雪が過去を見直すための出来事
10巻では、湊と桃香の関係が進む一方、小雪は中学時代の元彼・五十嵐翼と再会します。
五十嵐との過去は、小雪が人との間に強い壁を作るようになった背景に関わっています。
ただし再会の意味は、昔の恋人が戻ってきて新たな三角関係を作る、というだけではありません。
現在の小雪が、過去の自分に起きたことを現在の視点から見直すための展開です。
過去そのものは変えられません。
けれど、「あの出来事は自分にとって何だったのか」という意味づけは、時間が経つことで変化します。
私は、この過程があるからこそ、小雪が終盤で湊へ近づいていくことに説得力が生まれていると感じます。
湊と桃香の別れは11巻終盤
11巻では、湊が桃香と真剣に向き合おうとすればするほど、自分の本心を見失っていきます。
集英社の11巻紹介にも、湊が桃香との関係の中で自分の気持ちを見失っていくこと、小雪が湊に正直な気持ちを告げること、そしてその二人を桃香が目にすることが示されています。11巻の収録範囲は第91話「文化祭1」から第97話「放免」までです。
ここについては、話数を曖昧に断定するより、湊と桃香の関係が決着するのは11巻終盤と捉えるのが確実です。
重要なのは、桃香が悪かったから別れるのではないことです。
湊は「恋人なのだから桃香を大切にしよう」と考えます。
その姿勢自体は誠実です。
しかし、相手を傷つけないように振る舞うことと、自分が本当にその相手を恋愛として好きであることは同じではありません。
自分の本心を置き去りにしたまま「正しい恋人」を続けようとしたことで、むしろ関係は苦しくなっていきます。
この別れを経験しなければ、湊は小雪に対してもまた、相手の気持ちを先回りして「求められている自分」を演じてしまったかもしれません。
桃香との交際は遠回りですが、湊が自分自身の感情を認めるために必要な遠回りだったと私は考えています。
12〜13巻ネタバレ|小雪と湊、美姫と陽太は何話で付き合う?
小雪と湊は12巻で恋人になり、第104話「修学旅行2」が二人の関係に決着が付く大きな節目です。美姫と陽太は13巻で、美姫から想いを伝えることで恋人関係へ進みます。
12巻は第98話「移り目」から第104話「修学旅行2」までを収録しています。
第99話「バグ」、第100話「破錠」、第101話「混線」、第102話「一歩一歩」、第103話「修学旅行1」と進み、第104話へ至ります。
桃香と別れたあと、湊は元気を失っています。
美姫は湊の誕生日を祝おうとし、小雪もまた、湊ともう一度話すきっかけを作るためにプレゼントを用意します。
その延長線上で迎えるのが修学旅行です。
少年ジャンプ+でも、第104話のタイトルが「修学旅行2」であることを確認できます。
ここで二人は、長く抱えてきた感情をようやく互いに確かめるところまで進みます。
13巻の公式紹介が冒頭から「付き合い始めて」と説明しているため、104話までの流れを経て、小雪と湊が恋人になったことも明確です。
小雪と湊に必要だったのは、「勇気を出して告白すること」だけではありませんでした。
小雪にとっては、自分の感情を誰かに知られること自体が怖い。
湊にとっては、相手を理解することより、自分自身の本心を相手へ差し出すことのほうが難しい。
正反対に見える二人ですが、最終的には同じ問いへたどり着きます。
「本当の自分を見せても、この人との関係は続くのか」
その問いに、二人が言葉と行動で答え始めるのが12巻なのです。
美姫から陽太への告白は13巻
一方、美姫と陽太も13巻で大きな転機を迎えます。
13巻は第105話「修学旅行3」から第111話「クリスマス」までを収録。
集英社は、美姫が陽太へ告白しようと決め、二人きりで出かけた帰り道に想いを伝える展開であることを公式に紹介しています。
第107話は「週末 sideA」、第108話は「週末 sideB」です。少年ジャンプ+でも第107話のタイトルを確認できます。
かつて陽太から想いを向けられたとき、美姫はすぐには応えられませんでした。
しかし今度は、美姫自身が考え、自分から陽太へ向かいます。
ここで「陽太が待っていたから報われた」とだけ読むのは、少し違うと私は感じます。
物語上の重点は、美姫自身が自分の感情を選び、自分の言葉で伝えるようになったことにあります。
周囲が期待する「可愛い美姫」ではなく、自分自身が望む関係を決める。
だからこそ、美姫から告白するという順番が重要なのです。

『氷の城壁』最終回117話「解氷」の結末は?四人は最後どうなる?
最終117話「解氷」では、すでに恋人となった小雪と湊、美姫と陽太の関係を踏まえながら時間が進み、四人がそれぞれ以前とは異なる形で人とつながり、新しい季節へ向かう姿をもって物語が完結します。
つまり最終回で突然カップルが成立するわけではありません。
小雪と湊、美姫と陽太の恋愛上の決着はそれ以前に描かれており、117話は恋が成就したあと、彼らがどのように変わったのかを確認する最終章として位置づけられています。
14巻には第112話「夜のしじま」、第113話「存在」、第114話「暖」、第115話「繋ぐ」、第116話「次の季節へ」、そして最終117話「解氷」が収録されています。集英社の14巻紹介も「時は流れ、新しい季節へ」として完結を告げています。
最終回直前、小雪は「寂しい」を湊へ渡せるようになる
117話を理解するうえで欠かせないのが、14巻前半から積み重なる小雪の変化です。
小雪は自宅で湊と誕生日を過ごします。
夜になり、一人になることを急に寂しく感じた小雪は、帰ろうとする湊を引き留めます。そして、それまで胸の内に閉じ込めてきた思いを湊へ伝えます。
この展開は14巻の公式あらすじでも明記されています。
私は、この場面を104話の恋愛成立と同じくらい重要だと考えています。
恋人になるためなら、「好き」という言葉を一度伝えれば形式上は成立します。
しかし小雪にとって本当に難しかったのは、自分の弱さを誰かに見せ、その弱さを受け取ってもらうことでした。
序盤の小雪であれば、寂しさを感じても一人で処理したでしょう。
「寂しいからいてほしい」と相手に伝えることは、相手へ自分の内側に入る許可を出すことでもあります。
小雪は社交的な別人になったわけではありません。
それでも、自分が誰かとつながりたいときに、その意思を言葉にできるようになります。
美姫と陽太も「付き合って終わり」ではない
14巻では、美姫と陽太の関係にも続きがあります。
集英社の紹介では、小雪と湊の出来事と並行して、美姫が陽太の家を訪れることも示されています。
二人もまた、恋人という名前が付いたから完成するわけではありません。
美姫は「どう見られるか」に敏感だった人物であり、陽太は相手の気持ちを尊重するあまり自分を後ろへ置きやすい人物でした。
だから交際後に必要なのは、恋愛関係という新しい枠へ自分を合わせることではなく、以前と同じように互いを知りながら、その都度関係を作っていくことです。
最終巻の本編後には、読者リクエストに応えた「付き合った後の2人がもっとみたい」というおまけが、ヨータ&ミキ、ミナト&小雪のそれぞれについて収録されています。
本編の結末と合わせると、この作品が「告白=ゴール」と考えていないことがよく分かります。
117話「解氷」は、小雪が別人になる結末ではない
最終話の題名は「解氷」です。少年ジャンプ+でも第117話「解氷」として掲載されています。
ここで注意したいのは、「氷が解けた=小雪の壁が完全になくなった」と単純化しないことです。
小雪は最後まで小雪です。
人との距離に敏感であることも、誰とでも簡単に仲良くなるタイプではないことも、その人らしさの一部でしょう。
変わったのは、壁を持っていることそのものではありません。
壁の内側に閉じこもる以外の選択肢を持てるようになったことです。
誰かに近づきたいなら自分から近づく。
寂しければ、寂しいと言う。
誤解したなら、相手の答えを勝手に決めるのではなく話してみる。
小雪が117話までに得たものは、そうした「人と関係を結び直す力」だと考えると、題名の「解氷」が非常に美しく響きます。
『氷の城壁』の結末をどう読む?「壁・鍵・解氷」から考察
ここからは、全14巻を踏まえた私見です。
私は『氷の城壁』を、恋によって人間関係の問題が解決する物語ではなく、恋によって自分自身の対人関係の癖に気づく物語だと読みました。
とくに興味深いのが、作品内で繰り返される「境界を開閉する言葉」です。
1巻には第7話「鍵師」があります。
12巻には第100話「破錠」。
そして最後は第117話「解氷」です。各タイトルは公式目次でも確認できます。
もちろん、これらを一つの意図的な暗号として作者が配置したと断定することはできません。
ただ、全編を通して読むと、壁、鍵、錠、氷という言葉が「人の内側へどう入るか」というテーマと響き合っているのは印象的です。
小雪と湊は、実は正反対の壁を持っている
小雪の壁は分かりやすいものです。
他人を遠ざけるため、周囲にも「近づかないでほしい」という態度が見えます。
一方、湊は誰にでも近づけます。
会話もでき、人の気持ちにも敏感です。
しかし桃香との交際で見えてくるのは、「人へ近づけること」と「自分自身を見せられること」は別だという事実です。
湊は相手の気持ちに合わせられるからこそ、自分自身の本心を後回しにできます。
その結果、自分でも何を感じているのか分からなくなる。
つまり小雪は外から見える壁を持ち、湊は開いているように見える壁を持っていた、と考えられます。
二人が惹かれ合うのは単なる正反対だからではありません。
相手と関係を作ることに別々の方法で不器用な二人だからこそ、互いが変化するきっかけになります。
「制御エラー」と「バグ」が示す感情の扱い
もう一点、校正者として言葉の反復を追っていて気になるのが、機械的な語彙です。
3巻には第29話「制御エラー」があり、12巻には第99話「バグ」があります。
小雪も湊も、感情をある程度まで理屈で処理しようとします。
けれど、嫉妬や寂しさ、好意は計算どおりには動きません。
恋に落ちた結果、正常に働いていたはずの自分の判断が乱れる。
それを「エラー」や「バグ」と呼べる語感が、本作の人物たちによく合っています。
しかも最終的な解決は、エラーをなくすことではありません。
感情は思いどおりにならないものだと認め、その状態のまま誰かと話すことです。
ここに私は、本作が大人の読者にも残る理由を感じます。
人間関係で必要なのは、常に正しく振る舞うことではありません。
自分でも整理しきれないものを抱えたまま、「私は今こう感じている」と差し出すことなのだと思います。
美姫の恋は「選ばれる」物語から「選ぶ」物語へ変わる
美姫についても、陽太との恋が成立したことだけでは十分ではありません。
美姫は物語の早い段階から、他人が抱くイメージと本当の自分とのずれに悩みます。
学校で人気があり、周囲から好かれることは、一見すれば恵まれた立場です。
しかし期待される人物像が固まるほど、「本当はそうではない」と言い出しにくくなります。
だから陽太から想いを伝えられたとき、美姫が即座に答えを出せなかったことにも意味があります。
「こんなに優しい人が好きでいてくれるのだから付き合えばよい」という他人から見た正解ではなく、美姫自身が陽太をどう思っているかを確認しなければならなかったからです。
そして13巻では、美姫自身が告白する側に回ります。
これは恋の矢印が逆転しただけではありません。
他人から選ばれた自分ではなく、自分で選ぶ自分になる。
私は、美姫の成長を最も端的に示すのがこの反転だと考えています。
桃香と五十嵐を「悪役」にしなかった意味
『氷の城壁』では、主人公たちの恋を遠回りさせる人物を単純な悪役にしていません。
桃香は小雪と湊の間へ入りますが、自分の恋に対して行動した人物でもあります。
そして実際に湊と付き合ったからこそ、別れるときには桃香自身も傷つきます。
五十嵐との過去も、小雪にとって大きな傷を残します。
それでも物語は、誰か一人を悪者にして小雪の問題を片づけようとはしません。
人間関係では、誰も悪意を持っていなくても傷つくことがあります。
相手を思いやって黙った結果、かえって相手を傷つけることもあります。
正しい人と間違った人を分ければ解決するほど、人の感情は単純ではありません。
『氷の城壁』が117話もの時間を使うのは、この割り切れなさを省略しないためだったのではないか。
私はそう感じています。
まとめ|『氷の城壁』最終回は「恋の成立」と「解氷」を描く結末
『氷の城壁』は全14巻で完結し、最終話は第117話「解氷」です。14巻には第112話から第117話までが収録され、その後に小雪&湊、美姫&陽太の交際後を扱ったおまけも収められています。
小雪と湊は長い両片思いとすれ違い、さらに湊と桃香の交際を経て、12巻・第104話「修学旅行2」で関係を大きく進めます。13巻ではすでに二人が付き合い始めたことが公式紹介でも示されています。
美姫と陽太は、8巻で陽太が自分の気持ちと向き合ったあと、すぐには恋人になりません。
時間をかけて自分自身の感情を考えた美姫が13巻で告白する側となり、二人の恋も双方向へ変わります。
そして117話で描かれる本当の意味での結末は、「四人とも恋人ができました」という結果だけではありません。
小雪は、相変わらず慎重な小雪のままです。
それでも、寂しさを隠さず、好きな人を引き留め、自分の気持ちを相手へ渡せるようになります。
氷の城壁は、爆発して跡形もなく消えるのではありません。
少しずつ温度が伝わり、形が変わり、必要なときに人が行き来できるものになっていく。
だからこそ、最後の「解氷」という二文字は、小雪の恋愛成就だけではなく、四人が自分の感情を自分で認め、相手とつながる方法を覚えたことまで含む題名なのだと私は考えます。
よくある質問
『氷の城壁』で小雪と湊は何巻・何話で付き合う?
大きな決着となるのは12巻・第104話「修学旅行2」です。
12巻には第98話から第104話までが収録され、続く13巻の公式紹介では小雪と湊が「付き合い始めて」いることが明記されています。
湊と桃香は何巻で別れる?
湊と桃香の関係が決着するのは11巻終盤です。
11巻には第91話「文化祭1」から第97話「放免」までが収録され、湊が桃香と向き合おうとしながら自分の本心を見失っていく流れが描かれます。
美姫と陽太は最終的に付き合う?
はい。二人は最終的に恋人関係へ進みます。
8巻では陽太側からの想いが大きな焦点になりますが、その時点ですぐ交際するのではありません。13巻で美姫が自ら陽太へ告白しようと決め、二人の関係が動きます。
『氷の城壁』の最終回は何巻・何話?
最終回は14巻収録の第117話「解氷」です。
第116話「次の季節へ」に続いて最終話「解氷」が収録され、本編終了後にはヨータ&ミキ、ミナト&小雪の交際後を描くおまけも収められています。
執筆:篠原千鶴(アニメ愛好家・フリーランス校正者)

