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蓬・右京・ほまれ・桜介をまとめて解説|『桃源暗鬼』注目人物のプロフィール

桃草蓬・桃際右京・屏風ヶ浦帆稀・桃角桜介がそれぞれ異なる能力を構え鬼と桃太郎の対立を象徴する場面 キャラクター・声優

『桃源暗鬼』の桃草蓬・桃際右京・屏風ヶ浦帆稀・桃角桜介は、所属も能力も異なりますが、4人とも「力をどう使うか」に人物の価値観が鮮明に表れています。

蓬は桃太郎機関の戦闘部隊副隊長で「部屋」を作る能力、右京は高円寺の戦いを主導し「傀儡ノ雫」を操る人物、帆稀は羅刹学園の生徒で血の巨人を生み出す鬼、桜介は桃太郎機関の副隊長で受けた技をコピーする能力者です。

この記事では、所属・立場、能力と制約、主要人物との関係、重要エピソードという同じ軸で4人を整理します。原作第30巻までの内容に触れるため、未読の方はネタバレにご注意ください。

『桃源暗鬼』蓬・右京・ほまれ・桜介は何者?所属と能力を一覧で整理

まず4人の違いを簡潔に押さえておきましょう。桃草蓬・桃際右京・桃角桜介は桃太郎機関側、屏風ヶ浦帆稀は羅刹学園で学ぶ鬼側です。

人物 所属・立場 主な能力 重要な関係人物
桃草蓬 桃太郎機関・戦闘部隊副隊長 大小の「部屋」を生成し、侵入・脱出を制限 桃宮唾切、皇后崎迅、無陀野無人
桃際右京 桃太郎機関側、高円寺の殲滅作戦を主導 「傀儡ノ雫」による精神・身体への干渉 手毬、遊摺部従児、一ノ瀬四季
屏風ヶ浦帆稀 羅刹学園の生徒 血の巨人を出現させる血蝕解放 一ノ瀬四季、姉・澄玲、羅刹学園の仲間
桃角桜介 桃太郎機関・練馬区担当二十部隊副隊長 受けた技をコピー。ただし24時間に1人分 桃華月詠、無陀野無人

『桃源暗鬼』は漆原侑来さんが「週刊少年チャンピオン」で連載する漫画で、「桃太郎」と「鬼」の末裔が現代まで抗争を続けている世界を描きます。

秋田書店は2026年7月8日のコミックス第30巻発売時に、シリーズ累計600万部突破を発表しています。第30巻通常版・特装版も同日に発売されました。

今回扱う4人を並べると興味深いのは、単純な「鬼側と桃太郎側」という分類だけでは人物像を説明できないことです。

同じ桃太郎機関でも、蓬は任務遂行を重視し、右京は家族を救う目的のために他人の意思へ踏み込み、桜介は戦闘そのものへ強く惹かれます。一方、鬼側の帆稀は巨大な力を持ちながら、その力を恐れるところから歩み始めます。

私は、この差こそ『桃源暗鬼』の人物を読む面白さだと考えています。能力の強弱以上に、その力を誰へ、何のために向けるのかが人物の倫理観を映しているからです。


桃源暗鬼の蓬とは?桃草蓬の所属・能力・京都編での役割

桃草蓬(ももくさ・よもぎ)は桃太郎機関に所属する戦闘部隊の副隊長で、桃宮唾切と行動を共にする人物です。細菌を使って大小さまざまな「部屋」を作り、敵を隔離したり自らを守ったりできます。

アニメでは伊瀬茉莉也さんが声を担当しています。アニメイトタイムズの人物紹介では、蓬は「桃太郎機関所属」「戦闘部隊の副隊長」とされ、桃宮唾切とともに行動する人物として整理されています。

桃草蓬の能力は「部屋」を作り戦場を分断する

蓬の能力は、自身の細菌によって大小さまざまな密閉空間、いわば「部屋」を作るものです。

部屋は大きさを変えることができ、蓬が許可しなければ自由に出入りできません。そのため、相手を閉じ込める、自分を守る、複数の敵を分断するといった使い方ができます。

京都での戦いでは、この能力を使って無陀野無人たちの進路を妨げています。また皇后崎迅との戦闘では攻撃を部屋で防ぎ、逆に迅を内部へ閉じ込めて空間を狭める戦法も取っています。

つまり蓬は、単純な火力で敵を押し切るタイプではありません。

「誰をどこへ置くか」を操作し、戦う条件そのものを作り替える戦術型の桃太郎と考えると分かりやすいでしょう。

この点は京都編の終盤でも一貫しています。TVアニメ公式サイトの第11話「ありがとう!」では、無陀野たちに追い詰められた蓬が箱の中へ閉じこもり、無陀野が戦闘不能と判断して仲間の救助を優先する展開が説明されています。

攻撃に利用していた空間を、最後には自分自身の防壁へ変えるわけです。

私はここに、蓬の能力の完成度がよく表れていると感じます。「閉じ込める能力」ではなく、隔離、防御、足止め、時間稼ぎを一つの仕組みで行える能力なのです。

桃宮唾切との関係が蓬の人物像を示す

蓬は京都編で桃宮唾切と行動を共にします。

そのため主人公・一ノ瀬四季たちから見れば明確な敵ですが、蓬本人には鬼を危険視し、排除すべきだと考える姿勢があります。ここは「桃太郎機関の人物は全員同じ思想」と一般化するのではなく、少なくとも蓬自身には鬼への強い敵意があると捉える方が正確でしょう。

後のエピソードでも、その姿勢は簡単には揺らぎません。

アニメイトタイムズの人物紹介では、桃太郎機関本部へ呼ばれた蓬が、鬼との関係を見直そうとする桃寺神門とは対照的な立場を示し、その後も副隊長として別部隊へ配属される経緯が紹介されています。

蓬の能力を私は「境界を作る力」として読むことができます。

これはあくまで作品描写を踏まえた私見ですが、人を内と外へ分ける「部屋」は、鬼と桃太郎を明確に分けようとする蓬の価値観とよく響き合っています。

能力そのものが人物の考え方を説明している。この設計は、『桃源暗鬼』らしいところです。


桃源暗鬼の右京とは?桃際右京の能力・手毬・高円寺編を整理

桃際右京(ももぎわ・うきょう)は、高円寺で行われる鬼への殲滅作戦を主導する桃太郎側の重要人物です。能力「傀儡ノ雫」で他者へ干渉し、娘・手毬を救う目的のため、一ノ瀬四季や遊摺部従児を巻き込んでいきます。

右京を知るうえで重要なのは、単に「洗脳能力を持つ強敵」と覚えることではありません。

高円寺編では、能力、作戦の進め方、家族への執着という三つがすべて「他人を自分の目的へ組み込む」という一点へ集約されているからです。

高円寺編では桃際右京が殲滅作戦の首謀者になる

秋田書店の第21巻公式紹介では、鬼側にスパイがいたことで桃による鬼の殲滅作戦が実行され、高円寺が大混乱に陥ると説明されています。

さらに、一ノ瀬四季が拘束され、首謀者である桃際右京と二人きりになること、同巻で右京の過去が明かされることも公式に記載されています。第21巻は2024年9月6日発売です。

続く第22巻では、右京に捕らえられた四季が遊摺部従児と対面し、そこで重大な事実を知る流れが描かれます。第22巻は2025年1月8日に発売されました。

第23巻になると遊摺部の奪還後、高円寺での鬼と桃の戦争は最終局面へ入り、四季と右京の直接対決へ進みます。

秋田書店は第23巻の公式紹介で、右京が娘・手毬を救うため最後まで手段を選ばないことを明記しています。

したがって右京は、高円寺編に途中参加する敵幹部ではありません。

情報戦から鬼側への攻勢、四季の拘束、遊摺部を巡る問題、最終決戦まで、高円寺編の根幹に関わる人物です。

「傀儡ノ雫」は相手の意識を残したまま干渉する

右京の能力は「傀儡ノ雫」です。

作品情報を整理した資料では、対象の脳へ細菌を植えつけ、意識そのものを完全に消すのではなく、本人の意識を残した状態で認識へ干渉する性質が説明されています。また、自分自身へ能力を使い、脳の制限へ働きかけて身体能力を引き上げる応用も描かれています。

この能力の怖さは、「操られた人間が何も分からなくなる」ところではありません。

むしろ、自分の意識を持ちながら、認識や選択へ別人の意思が入り込んでくるところにあります。

右京という人物を考えるうえで、これは重要です。

彼は戦場で敵を殴り倒すだけでなく、相手が何を信じ、何を理由に動くのかという内側の領域へ入っていく人物だからです。

※画像はAIによるイメージ

遊摺部従児と右京の関係は高円寺編の核心

高円寺編で大きな役割を持つのが、羅刹学園の生徒・遊摺部従児です。

第21巻の公式あらすじは「鬼にスパイがいた」ことから殲滅作戦が始まったと説明し、第22巻では四季と遊摺部の対面が物語の重要な転換点として扱われています。

右京は、遊摺部が大切な家族を思う気持ちを利用します。

ここに右京という人物の最も痛ましい矛盾があります。

右京自身も手毬という守りたい家族を抱えている。それにもかかわらず、別の人物が家族を失いたくないと願う感情を、自分の目的へ利用してしまうのです。

私は、右京を読み解く際には「家族愛があるから善人」「酷い行為をするから家族への思いも偽物」という二択へ落とし込まない方がよいと考えています。

家族を思う感情が本物であることと、そのために選んだ行為に問題があることは、同時に成立します。

むしろ、その両方を成立させるからこそ右京は印象に残ります。

事情を理解することと、行動を肯定することは同じではありません。この区別を読者へ突きつける人物が、桃際右京なのだと思います。


桃源暗鬼のほまれとは?屏風ヶ浦帆稀の血蝕解放と成長

屏風ヶ浦帆稀(びょうぶがうら・ほまれ)は羅刹学園で学ぶ鬼側の少女で、一ノ瀬四季のクラスメイトです。自分では制御しきれないほど巨大な血の巨人を出現させる力を持ち、物語が進むにつれて「守られる側」から自ら仲間を救いに行く人物へ成長します。

TVアニメでは石見舞菜香さんが帆稀を演じています。アニメ公式サイトのキャスト一覧でも、一ノ瀬四季、無陀野無人、皇后崎迅らと並ぶ主要人物として掲載されています。

帆稀の血蝕解放は自動的に現れる血の巨人

帆稀は羅刹学園の生徒で、当初は気弱で自己評価が低い人物として登場します。

人物紹介では、鬼機関へ入った後には「誰かを助ける仕事がしたい」と考えていることも紹介されています。

帆稀の血蝕解放では、大量の血によって巨大な存在が現れます。

初期には帆稀本人が意図して完全に操作しているわけではなく、血を流すことで巨人が現れ、帆稀を守るかのように動きます。その一方で、制御できないため周囲を巻き込む危険があり、帆稀自身も能力を恐れています。

また、巨体を形成するため血液の消費量も大きく、使用後に帆稀が倒れてしまうことがあります。

この「強大だが扱えない」という条件が、帆稀の能力では非常に重要です。

強い能力を得れば強い人物になる、という単純な設計ではありません。

本人の精神的な成長が能力へ追いつかなければ、本当の意味では使いこなせない。

帆稀の物語は、そこから始まります。

巨人と姉・澄玲の存在が帆稀の能力を特別なものにする

帆稀が生み出す巨人は、単なる巨大兵器として扱われていません。

帆稀が「お姉ちゃん」と呼ぶように、この力は彼女の過去、家族、姉・澄玲の存在と深く結びついています。人物資料でも、巨人が帆稀を守ろうとするように動くことが説明されています。

ここが、帆稀の能力を他の血蝕解放と少し違ったものに見せています。

強さの象徴であると同時に、過去の傷が現在まで残り続けている証でもあるからです。

初期の帆稀は、その大きすぎる力に自分が追いついていません。

しかし私は、この「本人は小さく縮こまっているのに、内側には巨大な存在がいる」という対比そのものが、帆稀のキャラクター設計だと感じます。

彼女が克服すべきなのは能力不足ではありません。

自分の力を恐れている自分自身との関係なのです。

第29巻・第30巻では四季を救う側へ変わる

帆稀の変化をはっきり示すのが、原作後半です。

秋田書店の第29巻公式紹介では、桃柊冬呉との戦いに敗れた四季が氷鷹零とともに製薬会社へ連れて行かれる一方、屏風ヶ浦帆稀が四季を一人で助け出す決意を固めることが明記されています。第29巻は2026年4月8日発売です。

そして2026年7月8日発売の第30巻では、実際に帆稀が製薬会社へ現れ、四季と氷鷹零を救出します。

さらに四季と脱出を続け、その後は手術岾ロクロや漣水鶏の救出にも関わり、桃院黒馬・白馬の脅威と向き合う展開へ進みます。

初期と比べれば、立場は大きく反転しています。

かつては自分の力を怖がり、自分には何もできないと考えやすかった人物が、後には「自分が助けに行く」と決めて動く。

ここで大切なのは、「実は最初から強かった」というだけではありません。

強い力を持っていた人が、自分もその力を使う主体なのだと受け入れていく物語なのです。

私は帆稀について、「自己肯定感が上がった」という言葉だけでは少し足りないと感じます。

自分にできることを認め、怖さが消えない状態でも行動を選べるようになった。その変化まで含めると、第29巻・第30巻での救出は初期から積み上げられた成長の到達点として読めます。


桃源暗鬼の桜介とは?桃角桜介のコピー能力と月詠との関係

桃角桜介(ももかど・おうすけ)は桃太郎機関の練馬区担当二十部隊副隊長で、戦闘そのものを好む人物です。最大の特徴は、受けた技をコピーできる一方、「24時間に1人分」という明確な制約を持つ能力にあります。

TVアニメでは小野友樹さんが桜介を演じ、桃華月詠役は浅沼晋太郎さんです。

桜介は月詠と組んで行動することが多く、本編だけでなく二人の過去を扱う公式スピンオフまで制作されています。

コピー能力は「受けた技」を再現するが24時間に1人分

桜介の能力はコピーです。

自分が受けた技を自身の細菌によって再現できますが、重要なのは無制限ではないことです。

人物紹介では、24時間につきコピーできるのは1人分という制約が説明されています。加えて、桜介本人は高い体術能力も備えており、コピーだけに依存せず身体を張って戦います。

この制約は、桜介の性格と非常に相性が良い設定です。

コピーするためには、相手の技を知る必要がある。

そして桜介は、強い相手との戦いから逃げるどころか積極的に近づいていきます。

つまり、能力を増やす行動と本人の戦闘好きが同じ方向を向いているのです。

「コピー」という能力だけ聞くと万能に思えますが、24時間に1人という制限があるため、誰の技を取り込むのかという選択も生じます。

その一方で体術が高いため、コピー対象を切り替えられない時間帯でも戦える。

能力と基礎戦闘能力の組み合わせが、桜介の強みと言えるでしょう。

アニメ第17話では無陀野に敗れても戦いを楽しむ

桜介の性格を最も端的に示すのが、無陀野無人との戦いです。

TVアニメ公式サイトの第17話「怨みの鬼」では、桜介が伸縮自在の鎖鎌を使って無陀野へ挑みます。

無陀野の体術と血蝕解放によって圧倒されても、桜介は恐れるどころか強敵との戦いを喜び、防御を捨てて突撃します。

最終的には無陀野の攻撃で敗れ、殺さず尋問しようとした無陀野の前へ桃華月詠が現れ、桜介を回収します。

この一連の描写を見ると、桜介にとって「勝つこと」だけが戦う目的ではないと分かります。

普通であれば敗色が濃くなるほど退却を考えるところで、彼は相手の強さそのものへ興奮する。

それは魅力であると同時に、危うさでもあります。

自分の生命を守る判断より、戦闘の刺激を優先する場面があるからです。

※画像はAIによるイメージ

桃華月詠との過去は公式外伝で補完される

桜介を理解するうえで桃華月詠との関係は欠かせません。

本編では二人がすでに組んで行動しており、第17話でも桜介が敗れた後、月詠がその場から回収しています。

さらに秋田書店は、二人を主役級に据えた公式スピンオフ『桃源暗鬼外伝 ~月と桜の狂争曲~』を刊行しています。

同作は漆原侑来さん原作、小田童馬さん作画で、桃華月詠と桃角桜介の桃太郎機関養成学校時代と、二人の知られざる過去を描く作品です。第1巻は2025年12月8日、第2巻は2026年7月8日に発売され、2026年9月16日時点で既刊2巻です。

本編だけを見ると、桜介と月詠の関係は「よく一緒にいる桃太郎側の二人」に見えるかもしれません。

しかし外伝まで含めると、現在の距離感が養成学校時代から積み上げられてきたものだと分かります。

私は、桜介の「強い相手へ自分から近づく」という性質も、単なる戦闘狂というラベルだけで終わらせない方が面白いと思います。

もちろん「戦闘が彼にとって他者との対話そのものだ」とまで断定することはできません。

ただ、本編の無陀野戦や月詠との関係、さらに養成学校時代を扱う外伝を重ねて読むと、桜介は戦いの中で相手を測り、自分を確かめる人物として設計されていると考える余地があります。


蓬・右京・ほまれ・桜介を比較すると何が見える?能力は「第二の台詞」

4人を同じ項目で整理すると、能力と人物像がかなり密接につながっていることが分かります。

私は『桃源暗鬼』の能力を、人物が口では語らない部分を示す「第二の台詞」として読むと、キャラクターの違いが理解しやすくなると考えています。

蓬は「部屋」を作ります。

相手を隔離し、内と外を決め、出入りを自分の判断で制限する能力です。鬼との境界を強く意識する本人の姿勢と、結果としてよく重なります。

右京の「傀儡ノ雫」は、他人の認識や行動へ踏み込みます。

そして物語上でも、遊摺部を含む他者を自分の目的へ組み込み、高円寺での大規模な作戦を進めます。能力と行動原理が、ともに「他者の意思へ介入する」という方向を向いています。

帆稀の場合は反対です。

本人は小柄で、自分に自信を持てずにいる一方、内側から現れる力は巨大です。

本人が考えている自分の大きさと、実際に秘めている力の大きさが一致していない。この落差そのものが、帆稀の成長物語になっています。

桜介はコピー能力を持ちます。

しかも「受けた技」を再現するため、相手との接触が能力へつながります。強敵へ自ら近づいていく桜介の戦闘スタイルと、とても噛み合った設計です。

ここで4人の違いは、次のように整理できます。

  • 蓬は、力で「境界」を作る。
  • 右京は、力で「他者の意思」に入り込む。
  • 帆稀は、自分の内側にある力を受け入れていく。
  • 桜介は、他者の力を受け止め、自分の戦いへ取り込む。

こうして並べると、「隔離」「支配」「受容」「模倣」という異なる関係性が見えてきます。

これは単に能力の種類が違うという話ではありません。

4人とも、他者とどのような距離を取る人物なのかが能力に表れているのです。

右京と帆稀では「守りたい」が逆方向へ進む

特に興味深いのは、右京と帆稀の対照です。

右京には娘・手毬を救いたいという明確な目的があります。秋田書店の第23巻公式紹介にも、そのため最後まで手段を選ばない人物として描かれることが明記されています。

一方、帆稀は第29巻で四季を一人で救いに行く決意をし、第30巻では実際に四季と氷鷹零を助けます。

どちらも「大切な誰かを救いたい」という感情を持っています。

しかし、そこから選ばれる方法が違います。

右京は目的のため他者の意思を利用する方向へ進む。

帆稀は自分自身が危険の中へ踏み込む方向へ進む。

私は、この対比が『桃源暗鬼』の倫理観を考えるうえで非常に重要だと思います。

善い目的を持っていることだけでは、選択した方法まで正しいとは限らない。

同時に、恐怖を抱えていることは、誰かを救う行動ができないことを意味しない。

右京と帆稀は、同じ「守る」という感情から、まったく違う場所へ進む二人として読むことができます。

2026年10月からアニメ第2期「日光・華厳の滝編」

2026年9月16日時点では、TVアニメ『桃源暗鬼』第1期「京都編&練馬編」が各種配信サービスで配信されています。

公式サイトでは、第2期「日光・華厳の滝編」が2026年10月から日本テレビ系「FRIDAY ANIME NIGHT」枠で放送されると発表されています。

原作は2026年7月8日に第30巻まで刊行されており、アニメと原作では到達している物語の位置が大きく異なります。

そのため、今回の4人の印象も「どこまで読んでいるか」で変わります。

特に帆稀は、アニメ序盤だけを見ると自信のない少女という印象が強いものの、第29巻・第30巻まで読むと、自ら救出へ向かう行動力のある人物へ変化しています。

桜介も、本編だけでなく『桃源暗鬼外伝 ~月と桜の狂争曲~』を読むことで、桃華月詠との関係をより長い時間軸から捉えられます。

そして右京は、高円寺編の現在だけではなく、第21巻以降で明かされる過去と手毬への思いまで踏まえることで、人物像が完成します。

「この人物は何者か」を知るには、現在の能力だけでなく、どの経験を経てその力を使うようになったのかを見る必要がある。

校正の仕事で文章を読むとき、私は一語だけで意味を判断せず、前後の文脈を見ることを大切にしています。

『桃源暗鬼』の人物も同じです。

「桃太郎」「鬼」「戦闘狂」「気弱」といった一語だけで分類するより、その言葉の前後にある過去と行動を追うことで、人物の輪郭がずっと鮮明になります。


まとめ|『桃源暗鬼』蓬・右京・ほまれ・桜介は能力と人物像を一緒に見ると分かりやすい

桃草蓬は、桃太郎機関の戦闘部隊副隊長です。

細菌から大小さまざまな「部屋」を作り、敵の隔離、戦場の分断、防御へ利用します。京都編では桃宮唾切と行動し、無陀野や皇后崎迅たちと対峙しました。

桃際右京は、高円寺の鬼殲滅作戦を主導する桃太郎側の重要人物です。

第21巻から物語の中心へ入り、第23巻では娘・手毬を救うため四季との最終対決へ向かいます。能力「傀儡ノ雫」と、他者を目的へ組み込んでいく行動原理が重なる人物です。

屏風ヶ浦帆稀は羅刹学園の生徒で、巨大な血の存在を出現させる血蝕解放を持ちます。

初期には能力を制御できず恐れていましたが、原作第29巻で四季を一人で救う決意をし、第30巻では四季と氷鷹零を実際に救出します。

桃角桜介は、桃太郎機関の練馬区担当二十部隊副隊長です。

受けた技をコピーできますが、24時間に1人分という制限があります。無陀野に圧倒されても戦いを楽しむほどの戦闘好きで、桃華月詠との過去は公式外伝でも描かれています。

4人を単に「強いか弱いか」「敵か味方か」で分けるだけでは、『桃源暗鬼』の人物造形の面白さは十分に見えてきません。

私が注目したいのは、能力がその人物の他者との向き合い方を映していることです。

人を隔てる蓬。

人の意思へ入り込む右京。

自分の中の巨大な力を受け入れていく帆稀。

相手の技を受け、自分のものとして返す桜介。

能力を単なる必殺技ではなく「第二の台詞」として読むと、戦闘場面そのものが人物描写に見えてきます。

それこそが、4人を同じ記事で読み比べることで浮かび上がる『桃源暗鬼』の魅力だと私は考えています。


よくある質問

『桃源暗鬼』の蓬は何者?

桃草蓬(ももくさ・よもぎ)は、桃太郎機関に所属する戦闘部隊の副隊長です。

桃宮唾切と行動を共にし、細菌を使って大小さまざまな「部屋」を作ります。部屋は蓬の許可なしには自由に出入りできず、敵の隔離や防御に利用できます。

『桃源暗鬼』の右京は何者?

桃際右京(ももぎわ・うきょう)は、高円寺編で桃太郎側の鬼殲滅作戦を主導する重要人物です。

原作第21巻では作戦の首謀者として登場し、第23巻では娘・手毬を救うため一ノ瀬四季との最終対決へ進みます。

『桃源暗鬼』の「ほまれ」は誰?

屏風ヶ浦帆稀(びょうぶがうら・ほまれ)です。

羅刹学園で学ぶ鬼で、一ノ瀬四季のクラスメイト。血を使って巨大な存在を出現させる能力を持ち、原作第29巻・第30巻では四季を救うため自ら行動するまでに成長します。TVアニメの声優は石見舞菜香さんです。

桃角桜介のコピー能力に制約はある?

あります。

桃角桜介は受けた技をコピーできますが、24時間に1人分までという制限があります。その一方で高い体術能力を持ち、コピーだけに依存しない戦闘ができます。

桃角桜介と桃華月詠の過去はどこで読める?

公式スピンオフ『桃源暗鬼外伝 ~月と桜の狂争曲~』で読むことができます。

漆原侑来さん原作、小田童馬さん作画で、二人の桃太郎機関養成学校時代を扱っています。2026年9月16日時点では第2巻まで刊行されています。

執筆:篠原千鶴(アニメ愛好家・フリーランス校正者)

原作コミックス第30巻までの刊行情報、秋田書店の各巻公式紹介、TVアニメ『桃源暗鬼』公式サイトのストーリー・キャスト情報を確認したうえで、事実と考察を分けて執筆しています。